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水戸地方裁判所 昭和52年(ワ)279号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

そこで、原告には同法条二項所定の自ら土地を使用することを必要とする場合その他正当の事由があるかどうかについて以下検討する。

<証拠>を総合すれば、本件土地を含む水戸市備前町八〇七番一境内地405.42平方米は原告<編注―天理教々会>代表者の先代金ケ江幸之助が昭和二三年一月一二日前記津村登から買い受け、昭和三三年一一月一日寄附行為により原告に所有権移転されたもので、隣接する同所八〇六番一境内地四五九平方米も、戦後原告が右津村から寄附行為により取得したもので、原告は、本件土地を除く右両土地の地積723.81平方米の地上に床面積414.32平方米の木造土瓦亜鉛メッキ銅板交葺平家建神殿兼教職舎を所有して宗教活動を行つているものであるところ、原告教会に所属する布教師、信者の数は、昭和二三年当時一〇〇名位であつたのが昭和三五年頃には三五〇名位になり、原告は、布教活動のため建物を増築する必要に迫られ、前記認定のように、その頃から被告ら先代亡和田源吾に対し本件土地の明渡を求め、以来現在にいたるまで地代の受領を拒絶するにいたり、ついで昭和五二年一月頃には右布教師、信者の数は九〇〇名近くにもなり、布教師の研修活動を行うため被告らに本件土地の明渡を求めて宿泊施設を兼ねた信者会館を建設する計画をたて、被告里宇子に対し前示の如く更新拒絶の通知をなした上本訴建物収去土地明渡の請求に及んだことが認められるけれども、右の如き建物増築の必要性は、前示の敷地の面積からみて建物の高層化によつて或る程度満たされないわけではないのみならず、一方証人大内清義の証言及び被告本人和田里宇子尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すると、被告らは幼少の時から本件土地に居住しているもので近隣には友人、知己も多く、愛着の深い場所であり、現在は被告里宇子と被告照子姉妹で本件家屋に居住し、被告里宇子は茨城郡茨城町所在の社会福祉施設涸沼学園に事務員として通勤し、被告照子も友部町の三光工機株式会社に通勤してささやかに生計をたてており、しかも本件土地は交通至便のところで徒歩数分にして伊勢甚百貨店その他の水戸市屈指の商店街がある高級住宅地であつて、被告らはその利便を享受しているものであるところ、他に不動産等資産があるわけではないので本件家屋の収去及び本件土地の明渡を求められてもにわかに他に移転できる状態にはないこと、しかも原告のなした右更新拒絶の意思表示は、移転料の提示はもとより移転先の斡旋等何ら条件を示さないで一方的に明渡を求めている(原告は、本件口頭弁論終結時に移転料として金二〇〇万円を支払う用意がある旨主張するけれども、その額の当否は別として、前記更新拒絶時にかような金員提供の申出をしたものではないから、右正当事由の補完としての効力を認めるに由ないものである)ことが認められることに徴すると、原告の右更新拒絶の意思表示は、未だもつて借地法六条二項所定の自己使用の必要その他正当の事由がある場合には該当しないものと認めるのが相当である。

(高橋久雄)

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